<ステイトメント>

さなぎは芋虫のころの記憶を引き継ぎ蝶になる自分を夢見るんだろうか。

気付いたら宇宙がはじまっていていつか冷めて終わる。AからBへ、僕たちはこの世界の長い変態の途中に生まれ、羽化を待たずに意識が途絶える。ここは液状化したさなぎの中身が見る夢みたいに無目的でデタラメな空間で、光より速く膨張し散失しようとしている。

僕は2011年からブログで写真を公開してきた。僕が写真だと思うものはすべて「#photo」タグを付けられアップロードされる。それは一瞬で複製され変換され参照され地球のどこかへ漂着し、そこで今でも蠢いている。誰かのTumblrやInstagram、パブリッシャーやギャラリー、あるいはもっと想像のつかないところできっと。

僕の写真は移行のプロセス/あるいは移行によってもたらされる結果だ。交流と変態を繰り返し増殖し移動するものだ。ネットに登録された写真がサイズや拡張子を変え繁殖するように、指の移動によって書き換えられ無数に変化する。展示やコラボレーションを機会に新たな形態が模索され、僕自身も写真に牽引されるように場所を変える。カメラはそれに付随するプラットフォームとして新たな子種を宿す。

繰り返し増殖し変形したそれぞれが接続し合い回路のようなものを形作っていく。他の理屈で動く回路に接続されさらに拡がっていく。全体図がなにを描くかは誰も知らないが、だから作っている。それは最後に蝶の神経として残るんだろうか、それともきまぐれに終わる一時の現象なんだろうか。いずれにせよ僕たちはどこかにたどり着き続ける。遊びのように無意味かつ必死に。

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